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世界は考え方でどうにでもなる

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映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」感想(ネタばれあり)

 まず、動物達の毛並みが美しすぎることに最初は違和感を感じた。見る前にどんなものかちょっとネットで調べたから、アカデミー賞で視覚効果賞を受賞しているのはこういうわけかと思った。動物がきれい過ぎるからリアル感が無くなって胡散臭さが増したが、逆にあくまでリアルに実写してありのままの姿で映画にしたとしたらどう感じるだろうと考えてみた。結果、これは映画であってメッセージを含んだ芸術作品なのだから、現実にこだわる必要はない。そして、それが本物であるかどうかは別として、単純に美しいものは目を引かれる。だから、動物が本物よりCGで美しくされていることは問題でない。映画全体的に補正されていたが、物語なのでこの世のものではない夢にいるような世界だと思うことにした。それに、実際映画の中の設定では、パイが語る話の内容が映像として表現されているから、パイの中で動物達はとても毛並みが美しかった印象があるのだろう。思い出話はたいてい美化されるし、それが映像になっただけだ。

 パイの話が本当かどうかはどうでもいい。パイがトラと漂流していたと言うならそれは真実だ。しかし、パイがトラによって傷つけられていなかった(多分)ということから、推定できることはあるかもしれない。

 小年パイが、病室で日本人調査員2人に話を聞かれた時について。ここでは、ふたつの話をパイはする。ひとつはシマウマ、ハイエナ、オラウータン、トラと漂流した話、もうひとつは4人の人が漂流した話。物語の中で色々伏線があるが、僕は動物達と漂流した話を信じたい。なぜなら、これはパイの物語であるからだ。パイは漂流の中で多くの幻想的な体験をし、様々な困難に出会った。海の中に宇宙を見て、雷雨の中に神を感じ、トラと共に漂流した。人食い島はいままで見つけられたことはないし、構造的にあり得ないものだが、パイはその島を知覚し存在を肯定している。パイ自身もあり得ないことは分かっているが、自分がその島で経験し感じたことも真実だと信じている。事実かどうかではなく、自分が何を知覚し、信じるかということだ。世界のありようではなく自分のありようだ。ラスト語り終えた大人のパイは、小説家にどちらが好きか聞く。それが一番大切だ。自分がどちらが良いと思うか、大切なのは自分なのだ。

この映画は、一見するとトラと漂流した信じられない少年の勇敢な冒険物語だが、実は心のありようを説いた哲学的な投げかけをしていたと思う。

参考 

『今生の別れ「ライフ・オブ・パイ」ネタバレなし感想+ネタバレレビュー|カゲヒナタのレビュー』

http://kagehinata64.blog71.fc2.com/blog-entry-485.html